審ちゃんはそんなことがあっても
鶴見支店に転勤になったことが忘れられず
本当の理由は定かでないが
事務所を不在のときにわたしが時折デートをしているという
その真意を問いただすために
鶴見支店に電話をする
彼女は営業であろうから
事務所に電話しても当然事務所にいるはずもなく
折り返し電話を貰うように話をしたようだ
その夜に蒼い顔をして家に現れて
何が起こったと問えば
事前の状況を説明
今日一日彼女からの電話を彼は
馬鹿みたいに待っていたようだ
いくら銀行の営業の女性だとは言え
もう担当を外れ、ストーカーまがいの行為をされた男性には
電話をかけるわけはないと説明
第一に、審ちゃんが彼女に惚れているのでなく
彼女が審ちゃんに惚れていたのだから
この際そんなことはどうでもいいのではと彼に質問した。
流石にこの問いかけには何も言えぬよう
そそくさと家に帰っていった
翌日今度は笑顔で家に現れ
今日非通知で電話があり
それが彼女の電話で
動揺してしまい何も聞けなかったと言っていた
相変わらず進歩もなく
また鶴見支店に電話をすることが続くのだろう
そんな無駄な電話をするなら
近くに言ったときに事務所によって
ケーキの一個を持っていくことが
どれだけ効果があるとは思うのだが
彼特有の相手の迷惑を考えない発想は
そう簡単に変えられないようだ
当然ながら彼女と審ちゃんの関係は
彼女が結婚して銀行を辞めない限り
時間だけが過ぎていくことだろう
それも彼女が私のことを思っているという
勘違いの妄想の中に