家の父親は家に色々な人を呼びたがり
酒を飲んで意気投合することもあり
色々な人が出入りしていた
留さんはその風変わり度が断然
鳶の親方をしているせいもあるが
威勢もよく喧嘩早くて
町内の中でも若干煙たがれる存在だが
お酒を飲んでは家の前で家の父親のことをよく呼んでいた
ちょっとこわもてで喧嘩早い彼も
子供たちには人懐っこくて
そんなに悪いおやじではなかった
ただ父がいなくてうちに来て話し相手になるときは
ちょっと自慢話が多くて退屈ではあったが
威勢のいい語りはそれなりのものがあった
ある日一人でわが家にやってきて
その時は私が一人で留守番
彼の話を聞いていた
どうも嫌なことを誰かにされたらしく
これからその人を殺しに行くという
一本気な彼であるから
もちろん冗談ではなく
一瞬たじろぐ私であったが
話を聞いているうちに
彼もだいぶ落ち着いたようで
私の進めもあってその行動は中止になった
格好よく言うと一人の命を助けたともいえる
基本的には問題はあるが
彼は悪い人間でなく
正面から付き合うと以外と答えが出てくる
普通はこういう人に対して
嫌悪感を持ち付き合わないのがいいのだろうが
この経験は後に色々役に立った
建築現場に行き職人たちと話すと
こういう気質の人はとても多く
怒鳴り散らすそんなてらいもいた
だがそんな人たちに素直に寄り添うと
以外と新しい展開が開ける
これも一つの人生経験とおもっている
留さんもさすがにとしには勝てず
今は車椅子での生活
声もしゃがれてかつての栄光はない
私の周りにはいろんな人がいた